要介護4の父ですが、教科書を見せると ウキウキしているのがわかります。

<かぞくのプロフィール>
父:川上大勝さん(84歳)
娘:川上まきさん(56歳)

デイサービスやショートステイなどを利用しながらも、要介護4のお父様をご自宅で介護されているまきさん。出張で家を空けることも多いものの、お孫さんがみるなど家族で大勝さんを支えている。大勝さんは音楽が好きで、よくまきさんと一緒に歌っているそう。(※ご年齢は、取材当時のもの)

牢屋のような施設から、自宅へ戻って。

半年ほど前、「こんなこともできないの?」というくらいいろんな機能が落ちて反応のない人になってしまい、施設に預けるしかないと思いました。預けた先は、鉛筆も母の写真も置けない、真っ白の部屋にベッドだけの牢屋のようなところでした。父も意識がなくてぼーっとしている感じで、私が辛くなってしまい、結局2カ月で自宅へ戻ることに。そのときに、自宅でも何かできることをと思い、思い出ドリル「おとなの学校メソッド」を始めました。

テキストを見たときの反応が、体から違う!

巻頭に綺麗な写真があるんですが、まず、その写真に見入ります。もう、目の輝きが違って、体も前のめりになります。父は、戦時中を生きた人で、小学校しか行っていないので「私は学がないから」「勉強したかった」というのが口癖でした。だから、テキストを目の前にしたとき反応が違うんです。体から違う。無反応だった人が、鉛筆を持って教科書に書き込んだり、もう、自分の名前を書いたときにはびっくりしました。勉強したかったという、知識欲が満たされているんだと思います。


▲WEB上で入学式をしてもらいました。「川上大勝くん」と呼ばれて大きな声で返事をしました。

父が、習慣だった日記を書くようになりました。

父は何十年も日記を書いていたんです。本棚に並んでいるような人だったのに、最近は日記を書かなくなっていて、最後の方は「〜でした。〜でした。」というような報告書のような日記でした。でも、最近では「〜が食べたいな。」「〜が綺麗だったな。」というような感情がきちんと書かれていて。一度施設に入ったときには鉛筆も取り上げられていたので、嬉しかったです。


▲無反応だった父が教科書に名前を書きました!

教科書がとてもいい!私こそ楽しんでいます。

テキストで、「ご家族のことを聞いてください」という問いかけがあると、延々と話します。自分が小さいときのことや、親戚のこと、田舎のこと…知らなかったことばかりです。教科書のおかげで、子供の頃の父“だいかつ君”が見えてきました。また、日本の四季の話だったり家族がいっしょに学べるものなので、私の子供たちにも「これ知ってる?」って話ができる。私も勉強になるし、毎月届くのが楽しみで、辞典のように揃えてとっておきたいくらいです。